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会長就任の挨拶

 令和7年度通常総会において第二期の承認をいただき、会長を務めさせていただくことになりました。今期も引き続きよろしくお願いいたします。
 私は所属する法人の仕事で、今年2月25日から28日までの4日間、タイへ介護留学候補生の面接を行うため渡航いたしました。タイと言えば首都バンコクをはじめ、東南アジアの中でも近代化が進む国です。そのため、提携先の日本語学校から今回のお話を頂いた際には、対象者が本当にいるのか疑念がありました。しかし、現地を実際に訪れて、その不安はすぐに払拭されました。
 中部国際空港からタイ航空に乗り約6時間で、バンコク市内のスワンナプーム国際空港に到着しました。その後、すぐに国内線に乗り換え、チェンマイへと向かいました。バンコクからチェンマイまでは直線距離にして約580キロ、東京から青森までの距離感です。チェンマイは田舎町ですが日本の企業が進出しており、道路にはひっきりなしに車が行き交っていました。到着した翌日、現地の日本語学校で5名の生徒に対して当法人の説明を行いました。彼女らはさまざまな職業に就きながら日本語を学んでおり、中には日本でいう作業療法士の資格を持った生徒もいましたが、現在は郵便局で働いているそうです。つまりチェンマイでは資格があってもその職業に就く機会がなく、海外へ留学したいという希望を抱いている若者がいるという事がわかりました。
 最終日にはバンコクの介護技能実習生を育成する学校を訪問し、7名の候補生に会うことができました。どの候補生もしっかりと日本語を話すことができ、その教育レベルの高さを実感しました。そのあと施設内を見学中に日本人の介護教師と話す機会がありました。先生は教壇に立つ傍らで現地の介護施設へボランティアに行かれているそうですが、現地タイの介護レベルは日本に比べるとかなり低い印象があると感じているようでした。
 近代化が進むにつれて平均寿命が延び、今後益々高齢化が進むと予想されるタイ。一方で少子高齢化による人材不足が深刻な日本にとって、外国人介護職への依存は避けられない状況です。このような国々の人々に、介護先進国である日本の介護を学ぶ場を提供する事の重要性を、今回のタイ訪問を通じて強く感じました
 介護人材不足の影響は、介護支援専門員の不足に直結する問題です。この課題解決に向け、静岡県介護支援専門員協会は、以下の3つを今期の重点目標として掲げました。1つ目は「ケアマネ業務の生産性向上を図る」です。前期を通じてICT化の重要性を実感しましたので、今期はハードとソフトの両面から取り組んでいきたいと思います。2つ目は「現任の定着と、潜在者の発掘」です。前年度、県との話し合いを重ねた結果、令和7年度より県庁に〝介護に関する総合相談窓口“が設置されることになりました。目標達成のために、県へ現場の声を届け、県と共に対策を練っていきたいと思います。3つ目は「日本協会の組織力を増強させるために県協会と日本協会を1本化する」です。令和9年度の改正において、居宅介護支援費の自己負担の導入、軽度者の通所・訪問介護サービスの総合事業への移行など、私たちにとって阻止しなければならない課題が満載です。皆さまには、これらのことを自分事としてお考えいただき、一本化の趣旨につきましてご賛同いただけましたら幸いです。

静岡県介護支援専門員協会         
会長 鈴木 喫